大動脈弁狭窄症(だいどうみゃくべんきょうさくしょう)とは?

動画提供:エドワーズライフサイエンス社

大動脈弁狭窄症(だいどうみゃくべんきょうさくしょう)とは?

心臓は血液を全身に送るポンプの働きをしています。全身に酸素を送り届けた血液(静脈血)は、右心房に帰ってきます。帰ってきた静脈血は、酸素を補給するために右心室から肺へ送られます。肺で酸素を取り込んだ血液(動脈血)は左心房へ戻り、その動脈血は左心室の出口である大動脈弁から勢いよく全身へ送り出されます。

大動脈弁は、送り出した血液が心臓に逆流しないよう、3枚の弁が組み合わさり、大きく開きしっかり閉じる仕組みになっています。

この大動脈弁が加齢などにより石灰化して硬くなり、弁が開きにくくなることで、血液の流れが妨げられてしまう疾患を大動脈弁狭窄症といいます。

ともに生きるvol.09
詳しくは「ともに生きるvol.09
特集 すすむ医療「大動脈弁狭窄症」をご覧ください

TAVIとは?

大動脈弁狭窄症は、症状が悪化すると突然死などのリスクが高い病気です。そのため、硬くなった弁を人工の弁に取り替える必要があります。代表的な治療法は「大動脈弁置換術」という開胸手術で、心肺を一時的に停止させ心臓を露出し、狭窄している大動脈弁を人工弁に取り替えるものです。

この手術はすでに術式が確立しており、安全で確実性の高い手術です。しかし、人工心肺装置を利用するため、全身の臓器にかなりの負担を強いることになります。ご高齢の方や、癌のある方、開胸手術や放射線照射の既往のある方、ステロイド内服中の方、肺や肝臓などに重症な疾患がある方はこの手術を選択しないほうがよい事が少なくありません。そのような患者さんを対象にした新しい治療法として開発されたのが「経カテーテル大動脈弁留置術 TAVI」です。

  • 田邉医師 インタビュー(循環器内科)
  • 楠原医師 インタビュー(心臓血管外科)

TAVIのメリット

[1.開胸手術ができなかった方への新たな選択肢/2.身体への負担が少なく、早期に社会復帰が可能]

TAVIのアプローチ

三井記念病院のTAVI

豊富な経験と知識を持ったスタッフが治療にあたります。

三井記念病院では、TAVIの導入に当たり綿密に準備を進めた結果、2013年10月の保険認可後、比較的早期に導入することができました。これまでに77件実施し、30日の死亡率は0%と良好な成績を維持しています。(2016年08月24日現在)

TAVIの実施には、ハイブリッド手術室という手術台と心・脳血菅X線撮影装置を組み合わせた治療室の設置が必須条件となっています。三井記念病院では、2009年の病院建て替えの際には、計画段階からTAVI導入を視野に入れ、ハイブリッド手術室を完備していました。

TAVIを行うには、ハートチームの存在が不可欠です。当院でも高度なカテーテル治療の技術を持つ循環器内科医と心臓血管外科医をコアに麻酔科医、心臓画像診断専門医やME(臨床工学技士)、看護師、放射線技師、その他コメディカル、事務職員など、総合病院であることを活かし、様々な職種の専門家からなるハートチームを形成しました。

大動脈弁狭窄症は高齢化に伴い発症しやすい病気であるため、いざ診察すると高齢ゆえ心臓以外にも疾患を抱えている方が多いのが現実です。当院は心臓専門病院ではなく総合病院ですので、他の科と連携し患者さんの身体の状態を総合的に判断して治療すること、また他の疾患に関しても院内で対応できることを強みとしています。

関連サイト

三井記念病院心臓大動脈センターサイト

メディア掲載情報

当院のTAVIの取り組みについて多くのメディアに紹介されています。

  • 2014/11/6ハートチームの「TAVIについて」の取り組みが「週刊文春」で紹介されました
  • 2014/10/19循環器内科 田邉医師が「TAVIについて」BSテレビ朝日 「鳥越俊太郎 医療の現場」で紹介されました
  • 2014/5/31ハートチームの「TAVIについて」の取り組みが読売新聞スペシャル医療ムック「病院の実力 特別版」で紹介されました
  • 2014/5/30循環器内科 田邉医師が「最新のステント治療について」テレビクリエイションジャパン「ワールドビジネスサテライト」で紹介されました
ハイブリッド手術室 ハイブリッド手術室
総合病院の強みを活かしたハートチーム 総合病院の強みを活かしたハートチーム 循環器内科医、心臓血管外科医麻酔科医、心臓画像診断専門医やME(臨床工学技士)、看護師、その他コメディカル、事務職員

FAQ - よくあるご質問 -

TAVI治療を受けるまではどのような流れですか?

「初診外来 → 検査入院 → ハートチームカンファレンス→ TAVI入院」となります。

TAVIの費用はどのくらいですか?

2013年の10月よりTAVI治療が健康保険の適用となりました。

  • 70歳以上の患者負担44,400円(一般一部負担)
  • 70歳未満の方で健康保険使用3割負担の場合は約1,770,000円
  • 70歳未満の方で高額療養費制度使用の場合(一般所得)は約140,000円

個室・食事代は別途負担になります。

入院期間はどのくらいですか?

術後の状態によって前後することもありますが、入院から退院まで10日程度です。
手術の翌日には歩くことができ、患者さんの状態に合わせながら理学療法士がリハビリテーションを行います。食事も朝からとることができます。(医師の指示がある場合)
なお、検査入院の期間は平均1週間程度です。(状態によって前後します)

治療による痛みはありますか?

基本的に治療は全身麻酔で行われますので、痛みを感じることはありません。治療後にカテーテルを挿入した足の付け根に不快感があったり、経心尖アプローチの場合には傷口の痛みが残ることがあります。
全身麻酔の場合は術後にのどに違和感をおぼえたりすることがあります。これらは数日から一週間でおさまります。局所麻酔で行う際にも局所麻酔以外にも鎮静剤(睡眠剤)を用いて術中は軽くウトウトした状態で寝て頂くことが多いです。

透析の患者さんは受けられないと聞きましたが…

海外では透析患者さんにもTAVIは施行されていますが、現在(2015年7月時点)、日本では残念ながら保険適応となっておりません。今後適応の拡大が望まれます。

年齢に関係なくTAVIは受けられますか?

TAVIは希望すれば誰しもが受けられる治療法ではありません。TAVIが初めて人間に施術されたのは2002年で、まだ事例が少なく、術後10年・20年にどのような状態であるかというデータが充分ではありません。そのため、現時点では高齢でない患者さんであれば通常、長期成績も担保されている外科的手術である「大動脈弁置換術」が標準治療となります。しかし、これまで何度か開胸手術を受けたり、手術の危険性が高い方などは、TAVIの適応が検討されます。

他にこの治療(TAVI)を受けられない患者さんはいますか?

下肢や腹部の血管の問題、胸郭や心臓周囲の問題でカテーテルの挿入部が得られない患者さんや、全身状態があまりに悪い患者さんはTAVI治療によって利益を得られない可能性があります。そのような場合であってもまずは当院に受診して頂き、各種検査を施行の上、三井記念病院のハートチームでよく検討させて頂きたいと思います。後者の場合、バルーン大動脈弁形成術で治療を行い、全身状態をよくしてからTAVIにつなげる方法も考慮することがあります。

手術中に輸血は必要ですか?

必須ではありませんが、術中の合併症による出血で必要となる場合があります。そのため、術前に予め緊急時に備え、輸血の準備はさせて頂きます。
必要がない場合には輸血は致しません。

治療後にMRI検査は可能ですか?

経カテーテル生体弁は磁性がありませんので問題はありません。

遠方なのですが、三井記念病院で治療は受けられますか?

もちろん受けられます。
また、遠方の患者さんの場合、初診外来を省き、直接検査入院頂くことも可能です。

現在人工弁・生命体弁が入っていますが、TAVIで弁を交換することはできますか?

技術的には可能で海外では行われておりますが、日本では保険適応外になります。

TAVIについての質問はどのようにすればよいですか?

お問い合わせフォームよりご連絡ください。後日、担当より返信いたします。
他診療科の予約やTAVI以外の質問などにはお答えできません。

お問い合わせフォームはこちら

三井記念病院

画像提供:エドワーズライフサイエンス社『TAVI-web.com

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