MEサービス部
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MEは、Medical Engineer(メディカルエンジニア)の略称で臨床工学技士を指しています。
MEサービス部は病院全体の医療機器の貸出、返却、点検、修理を行い、安全かつ効率よく機器運営を行う部署です。また人工心肺装置、人工呼吸器、血液浄化装置等の生命維持管理装置の操作、保守、点検を行います。
MEサービス部は病院全体の医療機器の貸出、返却、点検、修理を行い、安全かつ効率よく機器運営を行う部署です。また人工心肺装置、人工呼吸器、血液浄化装置等の生命維持管理装置の操作、保守、点検を行います。
臨床工学技士とは?
臨床工学技士養成校において厚生労働大臣の指定する科目を習得します。その後、国家試験を受験し合格すると臨床工学技士の免許を取得することができます。臨床工学技士はメディカルスタッフの一員であり、現代医療に不可欠な医療機器のスペシャリストです。医療機器の安全確保と有効性維持の担い手としてチーム医療に貢献しています。
MEサービス部の特徴
MEサービス部は、現在、臨床工学技士15名で構成しています。当部の歴史は古く、1973年(昭和48年)7月、院内において漠然とした「病院内ME組織」の必要性が一部外科医の間で認識され、それまで人工心肺業務、人工透析業務、術中術後モニタなどにそれぞれ携わっていた技士を吸収統合し現在のひな型が形成され、1974年(昭和49年)11月に臨床業務を担当する臨床班と研究開発を主体とする研究班を有する、日本初の組織的なME部門となるMEサービス部が発足いたしました。その後、1987年の臨床工学技士法制定を機に、麻酔科助手が行っていた人工呼吸器業務を人材ごと吸収し、現在に至っております。今では様々な病院などに数多くの臨床工学技士を送り出し、お互いに得た情報、培ってきた経験、学んだ工学分野の知識をもとに日々業務を遂行しています。特徴としては、絶えず全業務において最新の情報・技術・知識を提供できることが望まれるため、各業務を1週間単位でローテーションし、幅広い知識・技術・視野を持ったゼネラリストの育成に取り組んでいます。また、常に医療事故のないよう安全に心掛け、他の医療従事者と協力しチーム医療を推進することを理念に掲げ、患者さんへのサービスに専念し業務に取り組んでいます。
業務内容
1.人工心肺業務
心臓手術は、心臓血管外科医師、麻酔科医師、看護師、臨床工学技士等の他職種でチームを組み治療にあたりますが、臨床工学技士は医師の指示のもと人工心肺装置の操作を担当しています。心臓や大動脈を治療する場合、心臓を一時的に止める必要があり、心臓が止まっている間の血液循環と呼吸の機能を人工心肺装置で代行します。人工心肺装置の操作は、2名の臨床工学技士で対応し、年間130例前後の症例を事故なく安全に行っています。また、超音波血流計、自己血回収装置、心筋焼却装置などの周辺機器の操作も行います。
体外循環症例データベース事業について
当院では一般社団法人日本体外循環技術医学会と連携し、体外循環症例データベース事業に協力しています。このデータベースは、手術あるいは治療に用いられる体外循環の記録を全国規模で長期間にわたり電子的に保存するものです。この保存され蓄積された貴重なデータは統計的に処理され、客観的な指標へと姿を変え、体外循環を実施する医療関係者に有効に利用されることとなります。この事業が体外循環の安全の追求に、そして、技術水準の向上に繋がり、結果的に患者さんの利益の向上につながります。この活動を通して、最善の医療技術の提供とともに、社会へ貢献していきたいと考えています。皆様のご理解とご支援を賜ることができれば幸いです。
詳細は以下をご覧ください。
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2.中央手術部業務
中央手術部内には電気メス、麻酔器等、多数の医療機器が使用されており機器トラブルは手術に影響が及びます。臨床工学技士は医療機器の日常点検、定期点検を計画的に実施することで、トラブルを未然に防ぎ手術を安全に行える環境を提供できると考えています。また、耳鼻咽頭科、整形外科、脳神経外科手術で使用されるナビゲーションシステムの保守、点検、管理も行います。
当院では手術用ロボット「da vinci」を用いた低侵襲手術が実施されており、da vinciの保守、点検、管理も我々臨床工学技士が行なっています。
3.血液浄化業務
腎臓の機能が低下すると、低下した腎臓の働きを代行するために人工透析という治療を受けます。臨床工学技士は人工透析装置の準備や操作、保守管理を行います。また人工透析に使用される水処理システムの保守、点検、管理も行います。人工腎臓等の選定、管理や人工透析管理システム運営等の業務も行っています。その他にも、肝不全や免疫疾患を対象とした血漿交換療法、血漿吸着療法等の特殊血液浄化も行っています。
4.集中治療部門業務
ICU(集中治療室)、CICU(冠疾患集中治療室)、HCU(高度治療室)では患者さんの状態により様々な生命維持管理装置(人工心臓・ECMO・IABP・CRRTなど)が必要になり、医師からの依頼にあわせ装置の準備を行います。生命維持管理装置の管理には専門的な技術と知識が必要なため、臨床工学技士が開始から終了まで動作中確認を行い安全に管理しています。補助循環動作中はベッドサイドカンファレンスを実施し部内での情報共有を行っています。また、人工呼吸器によるスムーズな呼吸や無理のない離脱ができるように、院内のRST(呼吸療法サポートチーム)に参加し適切な使用方法や換気モードを啓発しています。
最近では世界最小の補助循環用ポンプカテーテル「IMPELLA」を導入し、補助循環領域における我々臨床工学技士が活躍する機会は更に増えています。
5.心臓カテーテル業務
心臓などの血管を診断、治療する心臓カテーテル検査は、循環器内科医師を中心に、看護師、臨床工学技士、放射線技師でチームを組み行いますが、臨床工学技士は循環動態の監視やRotablatorなど治療装置の準備を担当しています。また、循環動態が不安定な場合は心臓機能を補助する補助循環装置(IABP、ECMO)や体外式ペースメーカーを挿入する場合があり、それらの生命維持管理装置の操作も行っています。血管造影と併用して各種診断装置(IVUS・OCT・FFR)を用いての血管治療が標準となっているため、それらの装置の操作も担っています。
また当院では大動脈弁狭窄症に対して、経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)を施行しています。臨床工学技士は清潔野でカテーテルに生体弁を取り付ける作業(クリンプ)、手術中の急変に備え人工心肺装置・補助循環装置の準備等を行います。
また、2018年12月より当院で僧帽弁閉鎖不全症に対する経カテーテル手技であるMitraClipの施行が始まり、ハートチームの一員として臨床工学技士も活躍しています。
また、2018年12月より当院で僧帽弁閉鎖不全症に対する経カテーテル手技であるMitraClipの施行が始まり、ハートチームの一員として臨床工学技士も活躍しています。
6.不整脈治療業務
不整脈の疑いがある方には電気生理検査を行い、不整脈と診断された方には永久的ペースメーカの植え込みや、カテーテルアブレーション治療を行っています。検査や治療の際は、電気刺激装置の操作や心電図のモニタリングを行っています。検査、治療以外では、ペースメーカ植え込み患者の定期外来時や外科的手術の前後、トラブル時等にペースメーカのチェックを行っています。
7.医療機器保守管理業務
臨床工学技士は、医療機器の点検を行い、購入から廃棄までの保守管理業務を行っています。すべての医療機器にバーコードを振り、点検や清拭、貸出や返却を中央管理しています。これらの医療機器が性能を損なうことなく適正に使用しているか、病院内を巡回し点検を実施しています。また、医療機器の異常や性能劣化がないかを、専用計測装置を用いて計画的に点検して確認しています。医師、看護師、放射線技師、臨床検査技師、事務、臨床工学技士で医療機器管理委員会を結成しており、病院全体の医療機器を包括的に管理しています。
8.院内研修
病院の医療機器の適正使用および管理は、医療機器安全管理責任者である臨床工学技士が中心となり管理しています。院内で使用している医療機器は種類、台数も多く使用方法の習得には時間と経験が必要です。工学と医学の知識を持ち合わせている臨床工学技士が、使用方法や注意点などを医師や看護師だけでなく院内のすべての職員対象に勉強会を開催しています。
9.学生実習・研修受け入れ
MEサービス部では次世代を担う臨床工学技士育成のため、臨床工学技士養成校より年間20名前後の学生実習の受け入れを行っています。臨床工学技士として基礎的な実践能力を身につけ、患者様への対応を臨床現場で学習し、チーム医療の一員としての責任と役割を教導するため、実技や体験を主体とした臨床実習を行っています。また、他病院の臨床工学技士の見学や研修、医療機器メーカーからの研修も受け入れています。
10.講習会・学会参加
日々進歩する医療機器に対応する為、医療機器メーカーの主催する研修会や講習会に積極的に参加しています。また、新規に購入する医療機器も事前に講習会を開催し、準備方法や使用方法、点検方法だけでなく予想されるトラブルへの対応なども合わせて受講しています。外部の学会や勉強会へも参加し、精力的に演題発表も行います。
業務実績(2018年)
人工心肺症例数 | 129件 |
OPCABG症例 | 75件 |
CAG(心臓冠動脈造影検査) | 1,468件 |
PCI(心臓冠動脈形成術) | 445件 |
末梢動脈疾患治療 | 94件 |
EPS・アブレーション | 117件 |
PM・CRTD植え込み | 92件 |
TAVI | 58件 |
IABP | 29件 |
ECMO | 16件 |
IMPELLA2.5 | 8件 |
IMPELLA5.0 | 5件 |
血液浄化室透析件数 | 4,161件 |
特殊血液浄化症例 | 17件 |
ICU・CICU・HCU透析件数 | 286件 |
CRRT症例 | 20件 |
人工呼吸器(IPPV)保有数 | 24台 |
人工呼吸器(NPPV)保有数 | 8台 |
人工呼吸器(IPPV)貸し出し回数 | 342件 |
人工呼吸器(NPPV)貸し出し回数 | 190件 |
ME管理医療機器台数 | 1,340台 |
ME管理機器貸出件数 | 20,467件 |
ME管理機器点検回数 | 50,574件 |
ME管理機器部内修理完了件数 | 366件 |
実習生受け入れ数 | 20人(8校) |
院内他職種対象勉強会回数 | 18回 |
院内他職種対象勉強会参加人数 | 373人 |
取得認定士
- 透析技術認定士
- 心血管インターベンション技士
- 体外循環技術認定士
- 人工心臓管理技術認定士
- 3学会合同呼吸療法認定士
- 臨床ME専門認定士
- 認定実習指導者
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