今までも、
これからも、
日々を頑張る女性のために。

社会福祉法人
三井記念病院乳腺センター

社会福祉法人 三井記念病院乳腺センターでは、乳がんを始め乳腺疾患全般に対する診断・治療を行っています。
特に乳がんの治療については、患者さんのQOLを最大限に考慮して、乳房再建手術も積極的に行っています。
これからも続いていく生活の中で、女性として笑顔で生活していく1つの方法として、乳房再建は多くの女性に選択されています。

今までもこれからも日々を頑張る女性のお手伝いを私たちは続けていきます。

治療実績
2017年~2021年

882乳がん

169乳房再建

乳がんとは

乳がんは、乳腺組織から発生する悪性腫瘍です。
病理検査にて乳がんの診断がついた後は、各種検査を行い、どの程度進行しているかを示すステージ(病期)分類を行います。
ステージⅣ(遠隔転移した状態)の方は、がんの進行を抑え、症状を和らげることを目標にした薬物療法中心の治療となります。
ステージ0~ⅢCの方は、根治を目指し、様々な方法を組み合わせて治療を行っていきます。
検査から治療までのフローチャートを以下にお示しします。

乳がんの検査から治療の流れ

乳がんの検査から治療の流れ

乳房再建のご紹介

乳房再建とは

乳がんの治療により失われた乳房を取り戻す手術です。
乳房再建手術の時期により一次再建と二次再建に分けることができます。また、自分の組織の移植(自家組織)によるものとインプラ ントによるものに大別されます。

①一次再建(同時再建)

乳がんの手術と同時に乳房再建術を始める方法です。
1回の手術で終わらせる一次一期再建と、ティッシュエキスパンダー(組織拡張器)を使用して行程を2回に分ける一次二期再建があります。

当院では自家組織再建を含め、一次一期再建に積極的に取り組んでおります。入院が一回で済むことが最大のメリットです。入院期間も術後1週間ほどと全摘と変わらない入院期間で、皮弁再建までを終わらせることができます。反面、後述するように、パッチワーク部分の面積が広くなりやすい特徴があり、色の違いが目立ちやすい部位(下腹部以外)を用いた再建では、大部分の皮膚を温存する必要があるなど注意を要します。

一次二期再建では、乳がんの手術に引き続いてティッシュエキスパンダーを入れ、手術後、8か月以上の期間をかけて皮膚を伸ばし、シリコーン・インプラントやご自身の組織に入れ替えて乳房を再建します。乳がん手術後にすでにある程度のふくらみができており、徐々に大きくできるため乳房の喪失感が少ないことや、乳癌手術の際には最終的な再建法を決めていなくてもよいことがメリットです。また、色の違いが目立ちやすい部位での自家組織再建でも、皮弁を伸ばした皮膚で完全に覆うことでより整容性の高い結果を得ることができます。

一方でエキスパンダー挿入術の合併症(感染による取出しなど)が次に述べる二次再建よりも多少多くなることが知られています。また、エキスパンダーと放射線治療の相性が良くないことから、術後に放射線療法を要するようになった方には、早めの入替手術を計画し対処しています。

②二次再建

乳がんの手術が終わったあとで、時期を改めて乳房再建に着手する方法が二次再建です。
全乳房切除後の再建や、部分切除術(温存術)後の変形の修正を含みます。

再建方法はさまざまであり、乳房の大きさや治療の経過により、おすすめできる方法は変わります。
一回の手術で済む方法や一次再建同様に2回の手術に分ける方法、複数回の脂肪吸引・注入により再建する方法等があります。

乳腺内分泌外科主治医の判断のもと、何年経過しても再建は可能ですので、ご相談ください。

乳房再建の方法

①人工物による再建(シリコーン・ブレスト・インプラント法)

シリコーン・ブレスト・インプラントを使って乳房を再建します。
手術時間や入院期間が短く、からだのほかの部位に傷をつける必要もないなど、負担が少ない点が最大のメリットです。

一方であくまで自分の体ではない「異物」であり、ひとたび細菌感染をおこすと(数%の頻度)交換や取り出す手術が必要となります。

また、長期に見ると硬くなったり(被膜拘縮)、壊れたりすることも事実です。
また、従来のテクスチャードタイプ(表面がざらざら)のインプラントでは、低率ながらも特殊なリンパ腫の発症があることがわかってきたため、2019年7月に新規の販売が停止されました。

当科では、その後発売されたスムースタイプ(表面がつるつる)のインプラントとテクスチャードタイプのインプラントを用いた再建を提供しております。
なお、現在従来型のインプラントが挿入されている方については、世界的にも経過観察が標準的です。
詳細は【こちら】をご覧ください。

シリコーン・ブレスト・インプラント

① シリコーン・インプラント
② ティシュー・エキスパンダー

②自家組織による再建

自分の組織を移植して、乳房を再建する方法です。
手術時間や入院期間はシリコーン・ブレスト・インプラント法と比べて長くなります。

からだの他の部位にキズをつけることとなりますが、人工物と異なり、劣化したり、破損したりすることがありません。
負担は大きい分、「一生もの」の再建ということができます。

組織を移動する際に、一度切り離して顕微鏡下に血管をつなぐ手技が必要になる術式が多いのも特徴です。
この血管が詰まり、移植した組織が生着しない可能性が2~3%あります。
当院で行っている再建法には以下の方法があります。

下腹部の皮弁

おなかの中心寄りにある、腹直筋の中を通る血管とその枝を取り出し、へそより下の皮膚と皮下脂肪を移植する方法で、深下腹壁動脈穿通枝皮弁(DIEP皮弁)と呼ばれています。腹直筋の大部分は温存されます。

最も多くの組織量を移動することができ、万能な方法と言えます。
大きな乳房や下垂のある乳房にも十分対応することができます。

反面キズは30cm以上であり、比較的負担が大きいと言えます。
また、生涯で一つしか取れないという特徴もあります。

お腹に手術のキズある方でも対応可能である場合がありますのでご相談ください。

予定入院日数:術後平均8.2日(形成外科 2019~2020年度実績)

下腹部の皮弁

下腹部の皮膚・皮下脂肪を横長に切り取ります。

下腹部の皮弁

乳房全摘に引き続いた一次一期再建では、切除のラインの通りの丸い皮島となります。

下腹部の皮弁

ティシュー・エキスパンダーに引き続いた手術の場合、皮弁の状態を確認するためにごく小さな皮島を出します。通常、あとで縫い縮めることも可能です。

下腹部の皮弁

二次一期再建の場合、ほとんどをお腹の皮弁で置き換えるようにすることが多いです。皮島は大きくなります。

大腿内側の皮弁

太ももの内側から後方の、ややたっぷりとした組織のある部位を移植する方法です。
代表的なものとして、大腿深動脈穿通枝皮弁(PAP皮弁)があります。

負担が比較的軽く、左右2つの組織が採取可能であることが特徴です。
DIEP皮弁に比べると、移植できる皮膚や組織の量は少ないため、比較的小ぶり~中くらいの大きさの乳房の再建にむいています。

予定入院日数:術後平均6.1日(形成外科 2019~2020年度実績)

大腿内側の皮弁

太ももの内側の後ろのほうから採取します

大腿内側の皮弁

ティシューエキスパンダーを用いる場合、皮島は小さくて済みます。

大腿内側の皮弁

太ももはカーブした一本のキズです。

腰の皮弁

骨盤の後ろ付近の組織を移植する方法です。
組織量に個人差があり、おなかにほとんど厚みがない方でも十分な量の組織が得られる場合があります。
腰動脈穿通枝皮弁(LAP皮弁)と呼ばれます。

つけられる皮膚量が少ないため、エキスパンダーを挿入してからの入れ替えにむいています。
血管の長さは短く、血管の移植を要する場合もあります。おしりの上のほうの感覚が鈍くなることがあります。

腰の皮弁
腰の皮弁
腰の皮弁
背中の皮弁

背中の筋肉である広背筋を用いた皮弁です。
広背筋は失っても日常生活に支障はないとされています。

中程度までの大きさの乳房の再建に適しています。
血管をつなぐ手技がなく、手術手技としては比較的簡便です。
上の3つに比べ、筋肉を一つ犠牲にすることが特徴で、移植後使われなくなる筋肉がやせていくため、最終的な大きさの予測がやや困難であると言えます。

背中の皮弁
背中の皮弁
背中の皮弁

キズはブラの後ろのバンドに隠れるようにします。

以上、乳房再建について時期や術式の違いにより説明してまいりました。
ライフスタイル、ライフステージによって、乳房再建の目的と、それにかけられる時間は様々です。
今の自分に最も適した再建方法を選択するお手伝いをし、提供することを目指しています。

当院で導入しているICG蛍光造影機器

インドシアニングリーン(ICG)を用いた蛍光造影により血流やリンパ流を可視化し、より安全で確実な組織移植術やリンパ管静脈吻合術を提供することができています。

LIGHTVISION

ハイビジョン画質で蛍光造影を行うことができ、カラー画面に蛍光造影を重ねたり、強拡大により0.5mm程度のリンパ管内のリンパ流を観察することができます。

LIGHTVISION

LIGHTVISION

LIGHTVISIONを
使用した観察事例

LIGHTVISIONを使用した観察事例

こちらの画像は血管内が染まっているタイミングの画像で、吻合血管の開存を確認しています。

LIGHTVISIONを使用した観察事例

こちらの画像では皮弁内の染まり具合から、安全に生着する範囲を決定しています。

LIGHTVISIONを使用した観察事例

こちらの画像では、リンパ管吻合後の吻合部の開存を確認しています。ハイビジョン画質のLIGHTVISIONならではのものです。

当院での治療のメリット

乳腺疾患以外も専門スタッフがあたります

患者さんの中には複数の病気をお持ちの方がおり、
治療に当たってはその病気にも注意を要する場合があります。

当院は35の診療科それぞれに専門スタッフがおりますので、院内で連携を取りながら病気を総合的に治療することができます。
術後は十分なリハビリを計画・実施し、患者さんがご自宅に帰られて日常生活にスムーズに戻ることができるよう支援し、退院していただくようにしています。

乳腺疾患以外も以外の疾患も専門スタッフがあたります

医療機能評価「JCI」の認定取得病院です

2016年11月20日にJCI(Joint Commission International)の認定を取得しました。
国際水準の医療を提供するため患者安全と医療の更なる質の向上に取り組んでいます。

JCI認定取得病院
JCI認定取得病院

秋葉原駅から徒歩約7分の好アクセス

JR線秋葉原駅から徒歩約7分の場所にありアクセスしやすい立地です。

また、秋葉原は東京メトロやつくばエクスプレス、都営新宿線とも繋がっているため、都内だけでなく関東近郊からも来院しやすい環境です。

秋葉原駅から徒歩約7分の好アクセス

クリニックとの2人主治医制

手術前から後のアフターフォローもお任せください。

クリニックとの2人主治医制

担当医師のご紹介

センター長


宮城 由美

Miyagi
Yumi

宮城 由美

学会認定

  • 日本乳癌学会 専門医・指導医、評議員
  • 日本外科学会 専門医
  • 乳がん検診精度管理中央機構 マンモグラフィ読影医、超音波読影医

乳腺内分泌外科

部長
太田 大介

Ohta
Daisuke

太田 大介

学会認定

  • 日本乳癌学会乳腺指導医・専門医
  • 日本外科学会外科指導医・専門医
  • 日本臨床腫瘍学会暫定指導医
  • 検診マンモグラフィ読影認定医師
  • 日本乳腺甲状腺超音波診断会議乳房超音波講習会A判定

専門分野

  • 乳腺

科長
辻 宗史

Tsuji
Munechika

辻 宗史

学会認定

  • 日本乳癌学会乳腺指導医・専門医
  • 日本外科学会外科専門医
  • 検診マンモグラフィ読影認定医師A評価
  • 日本乳がん検診制度管理中央機構 乳房超音波講習会A判定

専門分野

  • 乳腺

医長
武田 美鈴

Takeda
Misuzu

武田 美鈴

学会認定

  • 日本乳癌学会乳腺専門医
  • 日本外科学会外科専門医
  • 検診マンモグラフィ読影認定医師A評価

専門分野

  • 乳腺

医員
飯田 瑞希

Iida
Mizuki

飯田 瑞希

学会認定

  • 日本外科学会外科専門医
  • 検診マンモグラフィ読影認定医師
  • 日本乳がん検診制度管理中央機構 乳房超音波講習会A判定

専門分野

  • 乳腺、内分泌

形成外科・再建外科

部長
棚倉 健太

Tanakura
Kenta

棚倉 健太

学会認定

  • 日本形成外科学会形成外科専門医・領域指導医
  • 日本形成外科学会
    再建・マイクロサージャリー分野指導医
    小児形成外科分野指導医
  • 日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会
    評議員
    エキスパンダー/インプラント責任医師
  • 日本乳癌学会
    評議員

専門分野

  • 再建
    乳房、体幹(腹壁 、ヘルニアを含む)、四肢
  • リンパ浮腫
  • マイクロサージャリー
  • 創傷治癒

科長
倉元 有木子

Kuramoto
Yukiko

倉元 有木子

学会認定

  • 日本形成外科学会形成外科専門医
    日本形成外科学会
    再建・マイクロサージャリー分野指導医
    日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会
    評議員
    エキスパンダー/インプラント責任医師
    日本創傷外科学会専門医

専門分野

  • 再建
    乳房、頭頸部、体幹、四肢
  • リンパ浮腫
  • マイクロサージャリー
  • 創傷治癒

医長
早坂 李枝

Hayasaka
Rie

早坂 李枝

学会認定

  • 日本形成外科学会形成外科専門医

専門分野

  • 再建
    乳房、頭頚部
  • 手の外科
  • マイクロサージャリー
  • 一般形成

当院受診のご予約

当院は「原則予約制」になっておりますので、事前に予約センターで予約をお取りください。

ご予約受付時間

月~金曜日 8:30~17:00
土曜日 8:30~12:30 ※第2土曜日休診

PHS・一部のIP電話からは03-3862-9207(通話料無料)
※平日午後14時以降は、比較的お電話が繋がりやすくなっておりますので、ご利用ください。

当院受診の際の注意事項

  • 当院をご利用になる際には、事前に「診療予約」が必要です。
    受診を希望される方は当病院宛ての診療情報提供書(紹介状)をご利用の上、予約センターで予約されてからご来院ください。
  • 紹介状のない方はお近くのクリニック、またはかかりつけの医師から紹介状をいただいてください。
  • 初診に際して、当日やむを得ない理由で紹介状をお持ちいただけない場合は保険外併用療養費の特別料金として8,800円(税込)をご負担いただきます。

外来診療時間

月曜日~金曜日
9:00 ~ 17:00
土曜日
9:00 ~ 12:30

※ 第2土曜日は休診日です。

ACCESS

名称
社会福祉法人 三井記念病院
住所
〒101-8643 東京都千代田区神田和泉町1番地