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乳がんに対するラジオ波焼灼療法(RFA)



①「切らない治療法」ラジオ波焼灼療法(RFA)とは

RFAとは、2023年12月より新たに保険適用になった、腫瘍に細い針状の電極を刺して電流(周波数480kHz程度のラジオ波電流)を流して発生する熱で焼いて死滅させる治療法です。
保険診療で行われる早期乳がんに対するRFAは行う術者や施設が日本乳癌学会から認定されていることが必要になります。三井記念病院乳腺内分泌外科においても2025年6月より体制を整えて保険診療で行うことが可能になりました。
ただし、通常の乳がん手術より、適応条件が厳しくなります。(※②を参照)

【 ラジオ波焼灼療法で使用するラジエーター】

②ラジオ波焼灼療法(RFA)の対象となる乳がん

適格基準

・針生検で組織学的に通常型の原発性乳癌であること
・腫瘍の大きさが造影MRI検査、乳腺超音波検査を含む画像検査で長径1.5cm以下の単発腫瘍であること
・腫瘍の皮膚浸潤や陥凹などの皮膚所見が認められないこと
・今回の乳癌に対して治療を行った既往がないこと
・年齢が20歳以上の女性であること
・RFA後に放射線治療を行うことが可能なこと
・全身麻酔が可能であること
・術前診断で腋窩リンパ節に転移がないこと

適応除外基準(RFA適応対象外)

・妊娠中、もしくは妊娠している可能性がある症例
・心臓ペースメーカーまたは植込み型除細動器を留置している症例
・局所の活動性の炎症や感染を合併している症例
・重篤な⼼疾患、脳疾患を有している症例
・人工骨等のインプラントにより、対極板を貼付できず、RFAが適切でない症例
・抗血小板療法、抗凝固療法等、止血困難が予想される症例
・画像上広範囲の乳管内病変の存在や多発病変の存在が疑われる症例
・マンモグラフィ(MMG)で広範な石灰化を認める症例
・温存乳房内再発を含む異時性の同側乳癌症例
・他臓器転移を認める症例

③ラジオ波焼灼療法(RFA)のながれ

1. ラジオ波焼灼療法(入院から退院まで)

乳がんに対するRFAは、通常の乳がん手術と同様に手術室にて全身麻酔下で行います。
まず、通常の手術と同様に、わきの下のリンパ節に対してセンチネルリンパ節生検を行います。
次に、超音波検査機器で確認しながら、RFA用の針を腫瘍の中心部まで進めていきます。
針がきちんと腫瘍に刺さっていることを確認してから、熱を加えていきます。
がん細胞が壊死するとされる70℃以上まで温度が上昇したことを確認して、針を抜きます。
熱傷予防に焼灼部を冷やしつつ経過観察をおこない、通常翌々日には退院です。

 ◆ クリニカルパス(入院から退院までの診療計画書)はこちら

2. 放射線治療(RFA治療の約1~2ヶ月後)

術後1~2ヶ月で、放射線治療を受けていただきます。

【 ラジオ波焼灼中のイメージ 】

3. がん遺残の確認(放射線照射終了から約3ヶ月後)

RFAとその後の放射線治療で、がんが死滅したかどうかを確認するために、放射線治療終了後約3か月経過した時点で、造影MRI検査と超音波検査を受けていただきます。さらに、針生検も受けていただいて、焼灼部位から組織を採取し、顕微鏡レベルでがんが死滅しているかどうかの確認を行います。死滅していないがん細胞が見つかった場合には、外科的切除(乳房温存手術または乳房全切除術)を受けていただきます。
術後は薬物療法、放射線治療等その他の治療法を組み合わせ、頻回な検査や厳密な経過観察によって、外科手術と同等の根治性を目指します。

④ ラジオ波焼灼療法(RFA)の合併症について


腫瘍に焼灼針を穿刺したあと通電を行い焼灼により癌を死滅させる治療法であるため、周囲の皮膚熱傷(難治性)、出血、乳腺炎、血腫形成、膿瘍形成、創感染、創部痛、発熱、乳頭陥没などの合併症を起こす可能性があります。またRFA後の部位はしこり(硬結)として遺残することが多いです。
 硬結 2.7%
 皮膚熱傷(やけど) 1.9%
 創部感染 1.4%
 皮下出血 1.1%
 乳腺炎 0.6%
 陥没乳頭 0.5%
 血腫・皮膚潰瘍・創壊死 各0.3%

⑤ ラジオ波焼灼療法(RFA)が受けられるか知りたいと思われた方へ

自分がRFAの適応になるのかどうか知りたい、RFAのメリットやデメリットについて知りたいと思われる方は、主治医に相談いただくか、当院乳腺内分泌外科のRFA担当医の外来を受診してください。

◆RFA担当医:乳腺内分泌外科 科長 辻 宗史(つじ むねちか) 
 外来診察日:毎週 月・金・土曜日予約制 ※第2土曜日は休診です