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前立腺センター



前立腺センターを受診される方へ

当センターでは、前立腺肥大症の治療では泌尿器科と排尿ケアチームが連携し、前立腺がんの治療では泌尿器科、放射線治療科、緩和治療科と排尿ケアチームが連携したチーム医療を実践しております。また、受診申し込み後の診断から治療、さらに治療終了後の外来フォローまでの流れをスムーズに行う体制を整備しています。受診を希望される場合、前医の紹介元の先生の紹介状を持参し、可能であれば直近の画像診断資料や病理診断資料も併せてお持ちください。

                                               センター長 飯田 勝之

対象疾患

前立腺疾患全般を扱いますが、主に前立腺肥大症と前立腺がんの2つが対象となります。安心して手術や治療を受けていただけるようにチーム医療体制を整えております。

前立腺肥大症

前立腺肥大症とは、男性において膀胱に隣接して尿道を取り巻いている主に精液を産生する前立腺という臓器が大きくなり、尿道が細くなることによって排尿にまつわる様々な症状(排尿困難 頻尿 切迫性尿失禁など)をきたす病気です。頻度は年齢とともに高くなり、50歳から増加します。組織学的な前立腺肥大は、30歳代から始まり、50歳で30%、60歳で60%、70歳で80%、80歳では90%にみられます

【診断・検査】
自覚症状は調査票(IPSSやQOL)を用いて点数化し評価します。客観的には、尿流測定で尿の勢いや排尿にかかる時間、残尿量などを測定します。また超音波検査で前立腺の大きさをチェックします。また、前立腺がんの合併の可能性を血液検査のPSA(前立腺特異抗原)を測定することで除外します。

【治療方法】
【内科的治療】
前立腺部尿道の緊張をとることで尿を通りやすくする薬、前立腺そのものをやや縮小させる薬などがあります。まずは内服薬で治療を開始することがほとんどです。

【手術治療】
内科的治療で症状の十分な改善が得られない場合や、尿閉を繰り返す場合には手術による治療を行います。尿道から内視鏡を入れて治療する、2つの経尿道的な内視鏡治療(TUR-P手術とHoLEP手術)が主体となっています。
従来のTUR-Pといわれる方法は、電気メスを用いて肥大した前立腺(内腺)を少しずつ切除します。前立腺肥大症に対する最も標準的で、広く行われている方法です。
また近年、TUR-Pに代わりレーザーを使用した新しい切除手術(HoLEP)を当院でも行っています。レーザーを照射しながら、肥大した前立腺(内腺)と外腺の間を剥離して、内腺の部分を塊としてくり抜きます。くり抜いた内腺は、膀胱の中で細かく砕いて、吸引して取り出します。TUR-Pに比べ、大きな前立腺肥大に対しても手術に伴う出血やその他の合併症が少なく行えます。術後に尿道に留置するカテーテルの留置期間も短縮されとることで、従来に比べ短期間の入院で済み身体に負担の少ない手術法といえます。
手術方法(TUR-P またはHoLEP)の選択は病状に応じて決定します。

前立腺がん

男性の癌の中で最も高い発生率であり、患者数が増加しています。増えている要因としては、寿命が延びていること、食生活の欧米化(肉食による動物性脂肪の摂取率増加)やPSA検査の普及により、早期発見が可能になったことなどが考えられます。前立腺癌は早期では自覚症状がほとんどありませんので、早期の発見・治療のために50歳を過ぎたら血液検査でPSA値をチェックすることをお勧めします。

【診断・検査】
主な検査は直腸診と血液検査によるPSA(前立腺特異抗原)値です。直腸診で進行がんの存在がわかることが多いですが、早期癌では触診での判定は困難です。PSA値の上昇は、がん以外に前立腺肥大症や炎症でも見られます。その他にMRIによる画像検査も有効です。癌の有無の確定には、前立腺の組織検査が必要です(前立腺針生検)。2泊3日の入院で行う、全身麻酔下での約1時間の検査です。当院では、手術前に撮影したMRI画像を生検時の超音波検査画像にリアルタイムに描出させることで、確実に病変部を狙撃生検することが可能なMRI・超音波融合標的生検システムを行っています。がん病巣の検出率が向上し、かつ局在診断も可能となる画期的な方法です。
がんと診断された場合には、さらにCT検査や骨シンチなどの画像検査で転移の有無を調べます。


【主な治療方法】
がんの進行状況に適した治療方法をいくつか提示します。各治療方法の特徴を十分に説明し、ご理解して頂いたうえで、
患者本人に最終的に選択して頂きます。

【手術治療】
主に80歳以下の転移のない前立腺に限局したがんが治療対象になります。
当科では2017年に当時の世界最新機種であったダヴィンチXiが導入され、2022年8月までに、ロボット補助手術が350例以上施行され着実に症例を積み重ねています。ロボット手術は、拡大画面を見ながら精密な手術ができます。また従来の開腹手術と同等の制がん効果(がん細胞の増殖抑制効果)があり、開腹手術に比べ出血量が少なく、創が小さく、合併症からの回復が早いといわれています。当科ではロボット手術プロクター(指導医)が3人在籍しています。約10日間の入院が必要です。

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【放射線治療】
手術治療と同じく、転移のない前立腺に限局したがんが治療対象になります。当院では強度変調放射線治療(IMRT)を用いており、放射線の強度をコンピュータで最適化することで、従来の照射方法より前立腺の型に沿い集中して高い密度で照射することが可能です。さらに、直腸や膀胱などの正常組織の線量をできるだけ減少させるため、副作用も大幅に抑えることができます。放射線治療は泌尿器科でなく放射線治療部が行います。よって放射線治療部の診察が必要ですので泌尿器科からご紹介し、そこで十分な説明と治療日程を決めて頂きます。一般的に、1日1回(約30分程度)、週5回(月〜金曜日)で8週間前後を要します。外来通院で行えます。

【内分泌療法】
主に80歳以上の高齢者や、進行がんの方が対象となります。また放射線治療と併用する場合があります。前立腺がんは男性ホルモンの影響下で増殖しますので、それを遮断する薬を注射や内服薬で治療します。外来通院で行えます。

センター長・泌尿器科 科長

飯田 勝之(いいだ かつゆき)

飯田 勝之

 

学会認定
日本泌尿器科学会泌尿器科専門医・指導医
日本泌尿器内視鏡学会腹腔鏡技術認定医
日本内視鏡外科学会腹腔鏡技術認定医
日本がん治療認定医機構がん治療認定医
da Vinci 術者認定資格(surgeon certificate)

専門分野
泌尿器悪性腫瘍

外来診療表

当科の外来診療表はこちらからご覧いただけます。
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