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鼻の手術



内視鏡下副鼻腔手術(Endoscopic Sinus Surgery - ESS)

慢性副鼻腔炎で薬での治療で十分に改善しない場合、反復する場合に行います。副鼻腔は薄い骨の仕切りでいくつもの空洞に分けられていますが、空気の通り道が閉鎖され内部の粘膜が病的となっていることが治りにくい原因であり、ときに病的な粘膜がポリープ(鼻茸)を形成します。手術の際には余分な骨の隔壁や病的な粘膜を十分に除去することが必要です。副鼻腔は眼や脳硬膜と隣接しているので合併症が起こりうるとされています。術前にCT検査で副鼻腔の形態・病変の広がりをみて手術の適応を確認します。

手術の方法

全身麻酔で行います。
鼻の中を内視鏡で観察、CTの画像を参照しながら骨の隔壁を除去、病的な粘膜を切除して副鼻腔の空洞を開放していきます。薄い骨を切り取る道具やデブリッダーという余分な粘膜を吸い込みながら削除する道具などを用いて操作します。鼻の中の形態に問題がある(鼻中隔の湾曲、下鼻甲介の突出)場合には先にそちらを矯正する操作をすることもあります(鼻中隔矯正術、粘膜下下鼻甲介骨切除術)。先に述べた眼・脳の合併症を起こさないよう注意が必要ですが、隔壁・粘膜の除去が不十分だと副鼻腔炎が再発しやすくなります。ナビゲーションという現在操作している位置とCT画像上の位置を対応付けて安全性を高める装置がありますが、誤差が入る場合もあり術者には慎重な操作が求められます。手術操作が終わったら副鼻腔・鼻の中にガーゼやスポンジを詰めてパッキングして終了となります。パッキングは数日後に除去します。

当院のESSの特徴

内視鏡は最新の4K内視鏡を導入しています。細い血管や、粘膜表面の状態が細かく観察できるので、除去するべき隔壁とそうでないものの判断が付きやすくなり安全性も高くなりました。深部に病変が及んでいる場合ナビゲーション機器を使用してさらに安全性を高めています。術後パッキングが取れるまで入院している場合1週間程度の入院となりますが、パッキングしたままの退院をご希望される場合は最短3日間の入院となります(ただし、両鼻の手術の場合は鼻で息がまったくできない状態となりますので退院後の日常生活や睡眠に支障があると思います)。
また、歯の感染から副鼻腔炎となる歯性上顎洞炎は通常のESSのみでは再発しやすくなりますが、当院では歯科口腔外科と共同で手術・処置をしており再発しにくくなっています。

その他の鼻手術

鼻中隔矯正術、粘膜下下鼻甲介骨切除術、後鼻神経切断術
近年アレルギー疾患の患者さんが増えています。花粉症のみならず、ハウスダストなどによる通年性アレルギーも増えており、薬での治療で十分に症状が改善しないケースも増えています。特に骨の形態に問題があり鼻づまりが改善しない場合は手術が必要となります。また後鼻神経という鼻粘膜の知覚・鼻汁分泌をつかさどる神経を切断することによって薬で十分に改善しない鼻水・くしゃみを軽減できます。
ESSと同様に内視鏡で行います。当院で導入している4Kの内視鏡では後鼻神経と並んで走っている蝶口蓋動脈とを見分けられますので、後鼻神経のみを分けて切断することができます。術後の鼻の粘膜の加湿機能などを保存でき、術後出血のリスクも減少します。